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積ん読その14 『逆転ーアメリカ支配下・沖縄の陪審裁判ー』 [読書不可侵条約系]


逆転―アメリカ支配下・沖縄の陪審裁判 (岩波現代文庫)

逆転―アメリカ支配下・沖縄の陪審裁判 (岩波現代文庫)

  • 作者: 伊佐 千尋
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/10
  • メディア: 文庫




本土復帰前の沖縄でのある裁判を舞台にした法廷ノンフィクション小説、もしくは小説風ノンフィクション。訴訟記録が完全ではないため一部創作も含まれているが、実話である(初出は1978年)。第9回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している(初版では全て実名表記だが、被告人のうち1人がプライバシー侵害で訴えたため、現在では当該人物に仮名が使われている)。

 1964年のある夜、事件は起きた。2人の米兵が殺傷され、容疑者として4人の沖縄青年が逮捕された。米軍と取引する貿易会社社長の伊礼仁(主人公=筆者)は裁判所から1通の召喚状を受け取る。陪審員に選ばれた彼は、裁判での証人や証拠、供述調書の不可解な謎や矛盾を通して、被告人である4人が有罪であるとの検察側の主張に疑問を持つ。しかし、当時の米軍統治下の沖縄では、そもそも米兵に危害が加えられること自体が大問題であり、沖縄人に偏見を持ち占領者意識丸出しの米人も多い。陪審評議の場でも、ただでさえ米人8人に沖縄人3人と不利なのに、被告人無罪を主張するのは伊礼ただひとり。絶望的に孤独な状況の中で、果たして陪審評議を無罪に持ち込むことができるのか。強固な「クルーアクション」論、「くるせー」の解釈、豊富な検察側証拠、ハング・ジューリー(評議行き詰まり)の危機など、9日間の裁判と3昼夜にわたる陪審評議の模様が、スリリングに描かれている。また、主人公の会社に対する米民政府からの理不尽な追徴金を始めとした、復帰前沖縄社会のアメリカ統治の一端を垣間見させるエピソードも多く大変興味深いものがある。

 この作品を沖縄版「12人の怒れる男」というのは言い過ぎか。まあ個人的には、ほんとに筆者自身がこんなに冷静沈着に他の陪審員を上手に説得できたのかどうかは失礼ながら少し疑問なんですがw
しかしここ(http://www.jdla.jp/houmin/2007_07/07.html)を読むと、筆者はかなり異色の人物であることがわかる。そうとう有能な人物なのだろう。
 それはともかく、戦前日本でも実施されその後は行われていない陪審制度の様子が詳細に描かれ、現在導入が進められている裁判員制度を考える上でも参考になる。沖縄人としては、既に古典的ともいえるこの作品を今まで知らなかったことが残念。





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ken

充分に映画の原作たる小説のようですね。
読んでみようと思います。
by ken (2008-06-05 14:58) 

わらばー@見ッチェル

>kenさん
とても面白かったですよ。映画ではないですが78年にNHKでドラマ化されたようです。ぜひ見たいんですが、まさしくそれがプライバシー侵害でもめてるので再放送してないんでしょうね。できればリメイクでもしてほしいなあ。

>瑠璃子氏
niceどもっす。
by わらばー@見ッチェル (2008-06-07 02:06) 

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